愛犬に馬肉を与えると良い、そんな話を聞いて気になっている飼い主さんは多いのではないでしょうか。最近だとおやつやフードに馬肉を原料として商品も多く発売されていますよね。
結論から言うと馬肉は犬にとって栄養面・安全性などから非常に良いフードと言えます。ただ難しいのは生肉だけを与えていたら良いか?と言うとそう訳ではありません。栄養的なバランスだけで考えれば一般的なドックフードの方が無難。健康維持に必要な栄養素が考えられた上で配合設計されていますからね。
馬肉ではありませんが、生肉のメリットがあり、さらに栄養的に問題ないものだとブッチ ドッグフードが良いですよ。ブッチについては別記事で詳しく解説していますので興味がある方は読んでみてください。
では今回は馬肉の生食についてその特徴を解説していきますので参考にして頂ければ幸いです。
わんこのご飯についてはこちらの記事もオススメ。飼料業界出身の私が安心なドックフード は何ぞや?これについて真剣に書きました。
→安全なドックフードの選び方をプロが徹底解説|製造方法・原料・添加物に注目しよう!
目次
犬に生の馬肉を与えるメリットはどんなものがあるのか
馬肉が栄養面や安全性で様々なメリットがあると言いましたが、具体的にはどのようなメリットがあるのか、そちらを解説していきます。
馬肉の栄養から見るメリット
まず馬肉を与える大きな利点は一般的な肉類(牛・豚・鶏)に比べて低カロリー・高タンパクという事です。
カロリー(cal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 鉄分(ml) | グリコーゲン | |
馬肉 | 110 | 20.1 | 2.5 | 4.3 | 2,290 |
和牛肩ロース | 328 | 16.2 | 27.5 | 2.1 | 674 |
豚肉肩ロース | 283 | 16.4 | 22.6 | 1.2 | 432 |
鶏肉 | 108 | 22.3 | 1.5 | 1.2 | 98 |
参考資料(文部科学省 日本食品標準成分表)
まずこちらの表より、他の肉に比べ高タンパク・低カロリーなのはわかるかと思います。注目したいのが『鉄分』と『グリコーゲン』が他に比べ非常に多いという点です。
まず鉄分ですが、総合栄養食のペットフードを食べている場合は必要量が配合されているため鉄分不足による貧血などは特に心配する必要はありません。ただシニア犬の場合、慢性的な炎症から貧血になっている場合があります。嗜好性がよく豊富な鉄分を含んでいる馬肉が有効となる場合がありますので、かかりつけの獣医師に相談してみるのも良いかと思います。
次にグリコーゲンですが、人間が食べる食材としても『疲労回復には馬肉が良い』と聞いた事ないでしょうか。これには理由があります。人間と同様に犬も激しい運動をする際には蓄えたグリコーゲンから運動エネルギーを捻出します。つまりグリゴーゲンが枯渇するとエネルギー源がなくなり疲労困憊、運動を持続する事ができなくなります。
このようにグリコーゲンは運動の持続、疲労回復に大きく関係しており、他よりも豊富にグリコーゲンが含まれる馬肉は走り回るのが大好きなワンコに非常に良い食べ物です。アスリートが馬肉を意識して食べているのと一緒ですね。
他にもカルシウムや不飽和脂肪酸が豊富なのも馬肉のメリットです。青魚に多く含まれていると有名な不飽和脂肪酸ですが、実は馬肉にも多く含まれておりコレストロール値を下げ、血液の流れを良くする効果があります。
このように馬肉は栄養成分から見てもメリットしかなく、健康維持にはもちろんですが、高タンパク・低カロリーのためダイエットにも効果があります。
飼い犬の多くが肥満傾向であると言われており、肥満は多くの飼い主さんが悩んでいるのではないでしょうか。肥満解消にも効果があるのでぜひ馬肉を試してみて下さい。
馬肉の安全性について
人間の食品としてもそうですが、馬肉は生食での安全性が高い食材と言われいます。(かつて牛肉で大きな事件がありましたよね。それで牛肉は法律上生食不可となりました)
なぜ馬肉が安全なのか、これには理由があって馬は牛や豚などに比べ5〜6℃ほど体温が高く、そもそも菌が繁殖しにくく、寄生虫なども住み着きにくいといった特徴があります。
そういった特徴から生食で流通している肉類では馬肉が一番安全性が高いと言えます。
馬肉はアレルギーが発症しにくい
アレルギーとは特定のタンパク質がアレルゲンとなり発症しますが、全てのタンパク質にアレルギーが発症する可能性はあります。最近だとアレルギー対策としてグレインフリーの商品も多く販売されていますが、グレインフリーだからと言ってアレルギーが発症しない訳ではありません。確かに穀物に含まれるタンパク質である『グルテン』はアレルギーの原因となる可能性はあります。
しかしタンパク質であれば牛肉、鶏肉でも何でもアレルギーは発症する可能性は0ではありません。もちろん馬肉もです。
たまにグレイフリーだから絶対安全、そう勘違いしている方がいますが、あくまでも可能性が低いだけなので注意して下さい。
さて、では馬肉はどうなのかと言うと『アレルギーの発症が非常に少ない』と言われています。もし鶏肉や牛肉などを主原料としているフードでアレルギーかもしれない、そう感じる兆候があれば馬肉を試してみる価値はあります。
典型的な食物アレルギーの症状
・体を掻き続ける
・体を舐め続ける
・体を噛み続ける
・下痢・嘔吐
・目の充血
・皮膚が赤く炎症している
また長年同じフードを与えていてもアレルギーは急に発症する事があります。怪しいと感じたら獣医師に相談しましょう。普段から愛犬の様子をよく観察するのが大事です。
歯がきれいになる、口臭が抑えられる
犬の唾液は『アルカリ性』で虫歯にはなりにくいが、人と比べ歯垢が歯石に変化するスピードが高いという特徴があります。一般的なドライフードの場合、どうしても歯垢が歯に付きやく、歯肉炎や歯周病と言ったリスクも高くなり口臭の原因にもなります。
これは馬肉に限らずですが、生食を与えると歯垢はドライフードに比べ歯に付きにくく口内環境の改善効果にも期待できます。
愛犬の歯磨きについて不安のある方はこちらの記事も良かったら読んでみて下さい。
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馬肉を与えるデメリットはあるのか
馬肉が栄養面や安全性で非常にメリットがあると解説していきました。では馬肉を与えるデメリットはあるのでしょうか?
馬肉にはミネラルが多く含まれており、尿路結石の原因となる説
まずよく言われるのが馬肉にはミネラルが多く含まれており、それが尿路結石の原因になるという説があります。犬の尿路結石は結石の成分の違いによって色々と種類がありますが、ほとんどはスルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウム結石、この2つが大半を占めています。
犬の結石種類
スルバイト結石:尿がアルカリ性になる事によってなる。原因のほとんどは細菌感染
シュウ酸カルシウム結石:尿が酸性になる事によってなる。スルバイト結石を改善するため尿をアルカリ性→酸性にしてなってしまうケースが多い
結石はミネラルが何らかの問題で尿に溶けきれなくなり、尿路内にて結晶化してしまう事が原因ですが、馬肉はミネラルが多いので結晶化しやすい。そういう意見です。
ただ一方で生肉の場合、ドライフードと比べ水分量も多く、尿が中性に近くためむしろ良い、そういう意見もあります。結石は遺伝的な要因、ストレス、細菌感染、様々なものが原因となりますので、馬肉が原因となりやすいか、それは何とも言えないです。
ドックフードを食べなくなる
生の馬肉は非常に嗜好性が高いため、他のものを食べなくなってしまう。そういう意見もあります。ただこれは個体差が大きいでしょう。我が家では馬肉を与える際はトッピングとしてドライフードも一緒に与えています。
今まで一度も馬肉のみを食べてドライフードを残す、そういった事はありません。
確かに好き嫌いの激しいワンコもいます。これは馬肉に限らず普段のおやつでも同じ事が起こるので馬肉だけの問題とは言えません。
入手しにくく価格が高い
生の馬肉はどこでも売っている訳ではなく、入手しにくいという欠点はあります。ただ最近だと通販で販売しているショップも増えてきているので、近所で馬肉を購入できる店がないなら通販を利用しましょう。後でオススメのショップを紹介します。
あとは価格ですね。一般的なドライフードと比べるとやはり高くなります。ただ全ての食事を馬肉に変える必要もないので、トッピングのみ、週末のみ、など無理のない形で与えてみて下さい。
我が家では馬肉に限らず週末は色々なものを与える事にしています。魚とか手作りフード等。やっぱり毎日同じものだと飽きると思うので。
犬が下痢になる
ほとんどの方は普段与えているフードがドライフードです。急に生食に切り替えると下痢をする場合があります。ただ犬の消化管自体は生食にもちろん適応しています。
最初は少量を徐々に与えてみて様子を見てみましょう。ほとんどの場合は一過性のものです。
犬の馬肉オススメ通販サイト
では犬用馬肉のオススメ通販サイトをいくつか紹介しておきます。
▼熊本の馬刺し専門店が販売している『利他フーズ』販売、馬肉バラバラミンチ
人間用に販売している馬刺しの切れ端を犬用として加工販売されています。加工場はHACCP(国際的な食品衛生管理認証制度)に対応しているのも安心できるポイント
利他フーズでは馬肉の生肉だけじゃなくドライフードも販売されています。
▼ミートガイ
ここは人間用でBBQ用にスーパーで売っていないような変わった肉を販売している通販サイトなのですが、ペット用も販売されています。
馬肉以外にもカンガルー肉など変わったものも。
最後に
今回は馬肉について解説していきました。馬肉は栄養価・安全性などから犬にとって非常にメリットのある食べ物です。
ただ全ての犬に正解のフード、そんなものは存在しません。犬種や個体差、遺伝的、飼育環境など様々な要因があり、合う、合わないはあります。
あなたがこの記事を読んでいるという事は愛犬の事を考え馬肉が良いかも?と調べているのだと思います。その気持ちが一番大事。もし馬肉が体質的に合わなくてもすぐに気づいてあげられるはずです。
こちらの記事を参考にぜひ馬肉を試してみて下さい。
ちなみに我が家では馬肉の効果として一番実感できたのはダイエット効果でした。肥満気味で悩まれている飼い主さん、オススメします!!